オプション市場からの圧力
🧬 リバランス調整におけるトーンの出現と判別方法
リバランスとは、銀行や年金・投信などが保有するファンド資産のポートフォリオ管理の一環として実施する運用プロセスです。運用方針で定めた目標配分(例:株式/債券の比率)から市場の値動きで生じた乖離を、コストと乖離(トラッキングエラー)を抑えながら元に戻すことを指します。実務では、VWAP(出来高加重平均価格)/TWAP(時間加重)/POV(市場出来高に対する参加率一定)/Close(終値連動)/IS(到着価格基準)といった執行ベンチマークに沿って機械的に発注します。リバランスは信託銀行やアセットマネジメント会社にとどまらず、銀行・機関投資家・ヘッジファンドにも広く用いられ、想定したリスク水準の維持、指数連動性の確保、運用のブレ抑制が評価の中心です。市場への影響を小さくするため、注文は一度にまとめず小口へ分割し、一定のペースで連続的に流すのが一般的です。その結果、寄り付き直後・午前11時前・引け前など“区切りの時刻”に発注が重なり、短時間の値動きが生じることがあります。関連して、マーケットメイカーは在庫を中立に保つ調整を、オプション専業は先物・現物でのヘッジ(デルタ調整)を並行して行い、市場全体の配分と流動性の均衡が保たれます。
| アルゴ | 何を最適化 | 子注文ロジック/板の見え方 | 代表社例 |
| VWAP / TWAP / POV | 平均価格/参加率 | 時間/出来高に合わせて秒〜十秒スライス、ジッター入り(±15–45秒)。取消→出し直し増 | BlackRock🕳️, Vanguard🌀, 信託🍎🍊🍇🍌🍐 |
| IS(実行差異最小化)/流動性探索 | コスト×スリッページ | 気配・隠れ流動性に合わせアグレッシブ調整、アイスバーグ/スナイパー併用 | 野村AM🦒, MUFG AM🦬, Goldman🦁 |
| StatArb/裁定MM | ベーシス/相関収益 | ペア/バスケット同時発注、在庫制御で片側を増減 | IMC🦐, Optiver🦞, Flow🦀, DRW🪸 |
| 在庫連動MM | 在庫・スプレッド | アヴェラネーダ式等で見せ枚数を刻み替え、Queue取り直し多い | Citadel🦑, Virtu🐛, XTX🪼, Jane🐙 |
| オプションMMのデルタ中和 | Δ=0/Γ管理 | 価格閾値・15分境界で先物をまとめて買い/売り | Susquehanna🦢, SIG🕊, Wolverine🦆, Akuna🐣 |
| ロール/スプレッド | 限月/商品間ヘッジ | 同時成行/指値スプレッド、薄い側を優先して埋める | IMC🦐, DRW🪸, Optiver🦞 |
これらのリバランスの動きをカテゴリー別にどのようなチャートになるかを分類すると・・
| モード | 典型アルゴ | 板での症状(どう見える) | 価格の出方 | 主役例(会社+アイコン) |
| A ドリップ(平常のこなしー短期スイング) | TWAP / POV | 1–5秒間隔で小口が連続。Bestに貼り替え多、取消→再提示が滑らか | じわじわ同方向に10–40円、戻り小 | BlackRock🕳️, Vanguard🌀(こなし)+IMC🦐, Optiver🦞(受け裁定) |
| B キャッチアップ(追い上げ) | POV加速 / IS | O/Tが30–60秒だけ急増、成行・積極指値が増える | 1–3分のパルスで30–60円、階段状 | BlackRock🕳️(進捗遅れ補正), XTX🪼, Citadel🦑(供給) |
| C 同調ドライブ(スイング化) | オプMMΔ中和+POV | 15分境界/正時で片側の板が薄化、連続約定が続く | 5–15分で50–100円の押し上げ/押し下げ | Susquehanna🦢, SIG🕊(Δ中和)+BlackRock🕳️(こなし) |
| D 逆張り吸収(鈍化) | StatArb/裁定MM | 片側に当たると即逆側に厚み、約定が散る | 5–15円の往復細波、方向出にくい | IMC🦐, Optiver🦞,DRW🪸, Flow🦀 |
では、これらがどのようなトーンに当たるでしょうか。
| 対象(中身) | 主トーン | 副トーン | 代表プレーヤー(例) |
| 指数ウェイト/キャッシュ(パッシブのこなし) | #1 Calm-Tone | #6 Breath-Tone, #13 Step-Tone | BlackRock🕳️, Vanguard🌀, SSGA🌑, 信託:三井住友信託🍎 / JMTB🍊 / JTSTB🍇 / 三菱UFJ🍌 / みずほ🍐 |
| バスケット配分(アクティブPMの比率調整) | #13 Step-Tone | #8 Sine-Tone, #14 Pennant-Expand-Tone | 野村AM🦒, MUFG AM🦬, 大和AM🦌, SMAM🦓, 日興AM🐪 |
| 先物↔現物ベーシス/ETF裁定 | #1 Calm-Tone | #3 Box-Tone, #10 Shock-Tone(ベーシス崩れ時) | IMC🦐, Optiver🦞, Flow Traders🦀, DRW🪸 |
| 在庫リバランス(HFTマーケットメイク) | #1 Calm-Tone | #3 Box-Tone, #5 Spike-Tone(薄板探り) | XTX🪼, Citadel🦑, Virtu🐛, Jane Street🐙 |
| オプションΔ/Γ中和(先物でのヘッジ) | #2 Pulse-Tone | #7 Flash-Tone, #9 Dart-Tone, #15 Ladder-Tone | Susquehanna🦢, SIG🕊, Wolverine🦆, Akuna🐣 |
| ラージ↔ミニ/限月スプレッド切替 | #3 Box-Tone | #1 Calm-Tone, #13 Step-Tone | IMC🦐, Optiver🦞, DRW🪸 |
| 海外支店の顧客ヘッジ差替 | #9 Dart-Tone | #10 Shock-Tone, #13 Step-Tone | Goldman🦁, JPM🐃, Morgan Stanley🐅, UBS🦏 |
リバランス自体は① Calm / ⑥ Breath / ⑬ Step(=こなし・分割・安定供給)が基本。でもぶつかる相手(反対アルゴ)と場の状態で、表に出る“トーン”はガラッと変わります。
トーンが切り替わる仕組み(対立マップ)
🚩 Flag(市場状態/流動性)の出やすい時間帯(JST)
| 反対アルゴ(代表社+アイコン) | 何をする?(リバランスへ作用) | 出やすい“表のトーン” |
| オプションΔ/Γ中和:Susquehanna🦢, SIG🕊, Wolverine🦆 | 同方向に追い風(買いこなし×Δ買い 等)→スピード増 | #2 Pulse, #15 Ladder, 強い日は**#19 Storm-Override |
| HFT在庫制御/供給:XTX🪼, Citadel🦑, Virtu🐛, Jane🐙 | 板を薄く/厚くして価格の通り道を作る/塞ぐ | #5 Spike, 薄いと#10 Shock(小ブレイク) |
| StatArb/裁定MM:IMC🦐, Optiver🦞, DRW🪸, Flow🦀 | 逆側で吸収&均し→振幅を抑える | #3 Box, #1 Calm(減衰) |
| CRT/超短期順張り:HRT🐜, Tower🐞, Jump🦗 | こなしの流れに瞬時追随→短時間の伸び | #9 Dart, 速い日は#7 Flash |
| 海外支店バスケット/ヘッジ差替:Goldman🦁, JPM🐃, MS🐅, UBS🦏 | まとめて同方向に追加弾→階段状の押上げ/押下げ | #13 Step, 速度出ると#15 Ladder |
| ディーラー/自己デリスク:Nomura🧠/🐒, MUFG-MS🦍, みずほ🐘 | 在庫圧縮で片側に寄る→一段崩し/踏み | #12 Break, #18 Flat-Break |
| CTA/トレンド系:Man🦕, Winton🦖, Aspect🦎 | ブレイクに継続性を付与 | #9 Dart→長引けば#11 Beat |
| マクロ指標/定刻ヘッドライン重ね | 同時多発で加速 | #2 Pulse, #7 Flash, 強日で#19 |
Calm/Breath/Step(基流) × 反対アルゴの性格 × 流動性 = 観測される“トーン”。
🧬 トーン判別手順
上記のように、リバランス時間帯にお同じ“リバランス”でも、ぶつかる相手アルゴが違うと板の姿(スプレッド/厚み/フリッカー/約定のつき方)がまるで変わります。ここではリバランス(VWAP/TWAP/POV/IS/Close等の分割執行)を軸に、板(🧮)と歩み値・簡易Tick(📈)から「いま誰が、どのアルゴで、どのトーンを作っているか」を5〜10秒で推定するための手順を、章立てに沿って解説します。
1. 位置づけ(何を判別するか)
- リバランスは、パッシブ執行(指数連動・配分調整)を主因として、市場に連続した小口の“こなし”を流します。表に出る主トーンは Calm-Tone 🫧/Breath-Tone 🫧/Step-Tone 🌓 が基本形です。
- ただし、同時期に相手方のアルゴ(オプションΔ/Γ中和、裁定MM、供給HFT、海外支店の顧客ヘッジ差替、CRT/CTA等)が重なると、表面のトーンが別の型(Pulse 💓、Ladder 🌕、Shock 🌋、Surge 🌩️ など)に切り替わります。
- 因果関係は下式で押さえます:
基流(Calm/Breath/Step) × 相手アルゴ(誰×何) × 環境Flag(Auction/Spread/Sweep/Flow/IceWall)= 観測されるトーン
2. 判読の流れ(全体像)
- 5〜10秒の簡易チェックで「層」を仮置き(A:フラット/B:シャープ/C:ウェーブ/D:ショック/ダート)。
- フットプリント(板の挙動・歩み値の癖)からプレーヤとアルゴを推定。
- **Flag(環境)**を重ねて、行動のバイアス(順張り/逆張り/見送り)を補正。
- トーンの迷い所を所見で切り分け、主+副(16〜19)の最終ラベルに落とす。
3. どう見ればいい?(5〜10秒の簡易チェック:層の仮置き)
観測は5秒(速い時は3秒)で区切ります。順番は「速さ → 質 → 方向」。
- フリッカー f/s(最良更新/秒)
〜8/s=Calm/Breath ⚪/💨|8–20/s=Box/Step 🔴/🌓|20–40/s=Faint/Spike/Surge 🫧/⚡/🌩️|50+/s=Flash/Shock/Storm 💫/💥/⛈️ - C/R(板の更新÷約定)
3–6=こなし(Calm/Step ⚪/🌓)|>10∧約定少=試し突き(Faint/Spike 🫧/⚡)|>10∧約定多=本格交戦(Shock/Storm 💥/⛈️) - 偏り((Bid−Ask)/(Bid+Ask) の絶対値)
≤0.2=中立(Calm/Box ⚪/🔴)|0.3–0.5=片側優勢(Step/Ladder 🌓/🌕準備)|≥0.6が≥2秒=強推進(Pulse/Ladder/Shock 💓/🌕/💥)
クイック結論例
低f/s+低C/R+偏り小 → Calm/Breath/Box ⚪/💨/🔴(逆張り短打ち)
高f/s+C/R高(約定少) → Faint/Spike 🫧/⚡(様子見/最小サイズ)
高f/s+偏り大が継続 → Pulse/Step/Ladder 💓/🌓/🌕(小ロット順張り)
50+/s+C/R高+伸縮激しい → Storm/ Shock ⛈️/💥(成行回避・縮小)
4. プレーヤ/アルゴの推定(フットプリント → 推定 → 表トーン)
4.1 パッシブ執行・信託(分割)
- 代表:パッシブ🪐(BlackRock🕳️, Vanguard🌀, SSGA🌑, Amundi✨)、信託🐱(三井住友信託🦊, JMTB🦫, JTSTB🐿️, 三菱UFJ信託🐕, みずほ信託🐇)
- 典型フットプリント:等間隔の小段差、押し浅い、水平→+1tickの繰り返し
- 表のトーン:Step-Tone 🌓/Calm-Tone ⚪/Breath-Tone 💨、副で Sync-Step-Tone ☔
- 短縮タグ:VWAP/TWAP/POV/IS(分割)
4.2 裁定MM・スプレッド供給HFT(在庫/ベーシス整流)
- 代表:裁定MM🦀/供給HFT🐙(IMC🦐, Optiver🦞, Flow Traders🦀, DRW🪸, XTX🪼, Citadel🦑, Virtu🐛, Jane🐙)
- 典型フットプリント:同値リフィル、端で吸収、中央減速
- 表のトーン:Box-Tone 🔴/Calm-Tone 🫧(ベーシス崩れ時は Shock-Tone 💥が混入)
- 短縮タグ:MR-MM(平均回帰MM)/Iceberg-repl(隠し補充)
4.3 オプション主導MM(Δ/Γ中和)
- 代表:🦈(Susquehanna🦢, SIG🕊, Wolverine🦆, Akuna🐣)
- 典型フットプリント:瞬間真空→100連<1秒→即回復、短命サージ2発+
- 表のトーン:Pulse-Tone 💓/Flash-Tone 💫/Ladder-Tone 🌕(強い日は Shock 💥)
- 短縮タグ:DG-Hedge(quick/micro/chain)/SOR-multiSweep
4.4 海外系東京支店(顧客ヘッジ差替・バスケット)
- 代表:🐼(Goldman🦁, JPM🐃, Morgan Stanley🐅, UBS🦏 他)
- 典型フットプリント:抜け値の即水平化(支持/抵抗化)、段の積み上げ
- 表のトーン:Step-Tone 🌓/Ladder-Tone 🌕/Shock-Tone 💥
- 短縮タグ:TC/Close-Ramp(終値連動)/Momentum-POV
4.5 CRT/超短期・裁量(試し突き)
- 代表:CRT🐸(HRT🐜, Tower🐞, Jump🦗)、裁量🐵(各社ディーラー)
- 典型フットプリント:板2–5段の点滅多いのに約定伸びず=試し→即取消
- 表のトーン:Faint-Tone 🫧/Spike-Tone ⚡
- 短縮タグ:Probe-IOC/RequoteTest
4.6 CTA/トレンド系(継続付与)
- 代表:🦕(Man🦕, Winton🦖, Aspect🦎)
- 典型フットプリント:押し待ち不利の継続買い/売り、戻り浅い
- 表のトーン:Dart-Tone 🚀 → 長引けば Beat-Tone ⚔️
5. Flagの重ね方(環境上書き)
- Auction 💎:初動の方向が決まりやすい(寄付/再開/引け直前)。初撃は“待って”2本目から。
- Spread 🧊:滑りやすい。利確は前寄せ、逆張りは IceWall ❄️の併観必須。
- Sweep 🌊:押し待ち不利。順行小ロットで追随。
- Flow 💧:執行遅延コスト↑。トレール幅・逆指値距離を広めに。
- IceWall ❄️:抜けに時間。戻り売り/押し目買いの拠点。
例:Sync-Step ☔候補でも IceWall ❄️強→“抜け待ち”。Sweep 🌐が勝れば Ladder 🌕へ移行。
Flagのリスク値は時間帯別市場分析のMarketStrategy Breakdownのタイムラインを参照してください。
6. 時間帯別の読み方
6.1 火曜 10:06–10:10(午前の再配分帯)
- 想定されるtone:Calm-Tone ⚪/Breath-Tone 💨(パッシブ🪐+信託🐱の分割)
- この帯の“平常”は、価格フリッカー f/s=10–16、C/R=4–7、厚みバランスの偏り|…|≤0.2 程度に落ち着きます。ここから Step-Tone 🌓へ移る時は、5秒窓での連続プリントが8本以上に増え、偏りが +0.3〜0.5 まで2秒超持続、「水平→+1tick」の小段差が2回以上つながるのが典型です。フラグは 💧Flow 中、🧊Spread 低→中、❄️IceWall 低〜中が素直な組合せ。
- 介入で変化:オプションMM🦈のDG-Hedgeが刺さると🧊Spread 上振れ→🌊Sweep 点灯が連鎖して短命サージが差し込まれ、Surge-Tone 🌩️が混ざります。押しが浅いまま段差が継続すれば、Ladder-Tone 🌕への格上げが有力です。
- 因果:分割(原因)× Δ/Γ中和(増幅) × Sweep(環境依存)= Surge 🌩️ → Ladder 🌕
6.2 金曜 14:50–15:00(引け前)
- 時間延長後は、終盤のピークがやや後ろへ寄り、💎Auction 高と 💧Flow 高が同時に立ちやすい帯です。基調は Step-Tone 🌓(TC/Close 連動)。直前の一方向推進のあと、半値未満(30–50%)の浅い戻しが“一度だけ”入って小休止、そこから再加速する定型が Pullback-Tone 🌦️→ Ladder-Tone 🌕 への道筋です。
- “過熱ライン”はリテール計測に合わせて保守化します:f/s(価格)≥28–32、C/R≥10–12、偏り≥0.5 が2秒超持続、🧊Spread が 1↔3tick の伸縮を繰り返し、🌊Sweep が連発――これらが同時に重なり始めたら Shock-Tone 💥/Storm-Tone ⛈️警戒域。成行は縮小、指値追随はサイズを抑え、利確は前寄せ。見送りも有力な選択肢です。
- 補足)本帯は「💎Auction 高 × 🌊Sweep 高 × 💧Flow 高」の三つ巴になりやすく、方向の“決まりやすさ”は上がる一方で、スリッページリスク(🧊)も同時に悪化します。サイズ管理とトレール設計を最優先に。
7. 迷い所の切り分け
- Calm ⚪ ↔ Box 🔴:レンジ端の同値リフィル(供給/吸収)の有無
- Pulse 💓 ↔ Flash 💫:等間隔の長さ(1–3秒 vs 1–2秒)と継続秒
- Step 🌓 ↔ Ladder 🌕:〈水平→垂直→水平〉三拍子の反復が見えるか
8. チェックリスト(5〜10秒)
- f/s(速さ):低/中/高/極 を即判定
- C/R(質):こなし / 試し突き / 交戦
- 偏り(方向):中立 / 片側優勢 / 強推進
- プレーヤ推定:
- 同値リフィル規則的→ 裁定MM🦀/供給HFT🐙 → Box 🔴/Calm ⚪
- 等間隔小段差→ パッシブ🪐/信託🐱 → Step 🌓/Sync-Step ☔
- 真空→100連<1秒→回復→ オプションMM🦈 → Pulse 💓/Flash 💫/Shock 💥
- 点滅多いが約定薄→ CRT🐸/裁量🐵 → Faint 🫧/Spike ⚡
- 抜け値の即水平化→ 海外支店🐼/CTA🦕 → Ladder 🌕/Dart 🚀
- Flagで上書き:Auction/Spread/Sweep/Flow/IceWall の強弱で行動を補正
9. 注釈
- 分割:VWAP/TWAP/POV/IS(目標価格・時間・参加率・実行差異)
- DG-Hedge:Δ/Γの先物ヘッジ(quick/micro/chain)
- SOR/AggSweep:流動性貫通の同時執行
- MR-MM:平均回帰を前提とするMM
- Iceberg-repl:隠し在庫の同値補充
このマニュアルは「数値の絶対値」よりも区分の正確さを重視します。まずはフリッカー → C/R → 偏りで層を置き、フットプリントで誰×何を推定し、Flagで環境を上書きする——この三段で、リバランス帯のトーンを読み解いてください。
🎵Tone別:アルゴリズムの種類とプレイヤー分類表
①–⑫ 一般的なトーンタイプ
| トーン名 | アイコン | 典型シーン | 主なアルゴ | 主なプレーヤー | 視覚サイン(手掛かり) | 戦略意図(ねらい) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ① Calm-Tone(静波) | ⚪ | 寄り後の鎮静帯、前引け前、後場中盤 | VWAP, TWAP, POV-low, PPeg/MPeg, QR, BasisAdj, PairsArb/BasketArb | スプレッド供給HFT🐙・裁定MM🦀・パッシブ執行🪐・パッシブ保有🐢 | 1tick中心の狭い実体、小ローソクが等間隔 | 地ならし。サイズ小で待機、先細り/段出現の兆しを待つ |
| ② Pulse-Tone(閃影) | 💓 | 指標直後、定刻フロー、ヘッドライン後の数分 | EventTrig, OLS-burst, DG-Hedge-micro, TimeSlice-burst, IOC-micro | CRT🐸・オプション主導MM🦈・パッシブ執行🪐 | 一定間隔の短い伸びが連打(鼓動) | 短命加速の初動拾い→早利確。失速は即撤退 |
| ③ Box-Tone(瞬律) | 🔴 | 材料薄の時間帯、指数様子見、昼休み前後 | MR-MM, Iceberg-repl, MPeg往復, PairsArb/BasketArb | 裁定MM🦀・スプレッド供給HFT🐙・信託銀行系🐱 | 高安水平、端で反復反発、ヒゲ短め | 回転重視。壁寿命の短縮をブレイク前兆として監視 |
| ④ Faint-Tone(斜飛) | 🫧 | 方向不明の序盤、材料待ち、薄い帯 | Probe-IOC, RequoteTest, MicroPD, IS-probe | 証券会社ディーラー🐵・CRT🐸・個人投資家(短期)🐹 | 小さな抜け→即戻りが散発、だまし多発 | 探索局面。ロット抑制と様子見、深追いしない |
| ⑤ Spike-Tone(跳牙) | ⚡ | 薄所、節目直前直後、ニュース端緒 | Sweep-to-Fill, IOC/FOK, AggSweep, SOR-cross, DG-Hedge-cross | スプレッド供給HFT🐙・裁定MM🦀・CRT🐸 | 細い長ヒゲの単発スパイク、戻り短命 | ストップ連鎖の起点。急反転・スリップに注意、サイズ小で対応 |
| ⑥ Breath-Tone(滞静) | 💨 | 長めの様子見帯、引けに向けた基調調整 | POV-low(5–10%), VWAP-low, RebalDrib, InvNetting | パッシブ保有🐢・パッシブ執行🪐・アセットマネジメント🫎 | 小幅でゆっくり上下、出来高細く継続 | 橋渡し。偏りやテンポ変化をヒントに次モードへ備える |
| ⑦ Flash-Tone(鋭閃) | 💫 | 突発ニュース直後、見出しの一撃 | News-OLS, QuoteWiden, DG-QuickHedge, AggGrab | CRT🐸・オプション主導MM🦈 | 大実体が一発→直後に収束、瞬間スプレッド拡大 | 追いかけ厳禁。初動のみ、または見送りでスリップ回避 |
| ⑧ Sine-Tone(鳴律) | 🟢 | 安定レンジ、裁定往復が効く帯 | MR-Basket/Pairs, GridMM, OscSlice, InvRebal | 裁定MM🦀・CTA🦕 | なめらかな周期波、振幅と周期が比較的安定 | 周期/振幅の変化=拡大型や転換の予兆。切替準備 |
| ⑨ Dart-Tone(流牙) | 🚀 | 方向が出始め、薄い側に偏る時 | AIS, MomentumPOV(15–30%), MarkoutOLS | CTA🦕・スプレッド供給HFT🐙 | 小刻みな同方向実体が連続、戻り浅く短い | 連続前進の取りこぼし防止。止まり目で即利確 |
| ⑩ Shock-Tone(撃咆) | 💥 | 節目の壁抜け、ギャップ埋め、端点 | BreakoutDet, SOR-multiSweep, TC-Ramp, IS-Max, DG-chain | CTA🦕・海外系東京支店🐼・証券自己部門🦣 | 壁抜け後の大実体、連続約定で一気に走る | 端点対応。分割利確+トレール、逆行時は潔く撤退 |
| ⑪ Beat-Tone(鼓動波) | ⚔️ | 決算・需給イベント点在、中期調整 | TC/VWAP-Wave, BasketRot, Roll, POV-breath | パッシブ保有🐢・アセットマネジメント🫎 | 幅広い往復が規則反復、時間軸長め | 中期基調形成。位相ズレの加速に備え、間合い管理 |
| ⑫ Break-Tone(裂波) | 🌋 | 清算・強制LC連鎖、クレジット解消 | LiqAlgo, DeRisk-IS, KillSwitch, MarginCall | 証券自己部門🦣・海外系東京支店🐼・銀行・生保系🐮 | 連続陰/陽で戻り弱い、出来高集中、反発短命 | 本崩し。成行回避、分割利確の徹底。リバは深追いしない |
注釈(短縮タグの説明)
- VWAP/TWAP/POV-low: 参加率や時間配分で穏やかに約定させる執行アルゴ(低アグレッション設定)
- PPeg/MPeg: Primary/Midpoint Peg。ベンチマーク価格に追随する受動指値
- QR: Quote Replenishment。見せ板含む差し替え・補充の自動化
- BasisAdj: 現物・先物・ETFのベーシス調整取引
- PairsArb/BasketArb: ペア/バスケットの相対価値裁定
- EventTrig: 指標・定刻・ヘッドラインなどイベント連動の執行トリガー
- OLS-burst/OLS: Optimal Liquidity Seeking。流動性探索の最適化(バースト=短時間の連打)
- DG-Hedge-micro / DG-QuickHedge / DG-chain: オプションのデルタ/ガンマ中和ヘッジ(微調整/緊急/連鎖)
- TimeSlice-burst / OscSlice: 時間分割発注(バースト型/オシレーター連動)
- IOC/FOK: 即時約定残キャン/成行同等の一括指示
- Sweep-to-Fill / AggSweep / SOR-multiSweep: マルチ会場一括スイープで板を食い進める発注
- SOR-cross / AggGrab: ルーティングで最良気配の取りに行く/クロスを作る
- MR-MM / MR-Basket/Pairs: 平均回帰を前提としたマーケットメイク/裁定
- Iceberg-repl: アイスバーグ注文の補充(残量隠し)
- Probe-IOC / RequoteTest / MicroPD: 小口IOCでの板探り、連続差し替えテスト、ミクロな価格探索
- IS-probe / IS-Max / DeRisk-IS: Implementation Shortfall。探索版/最大緊急度/リスク低減の一括実行
- AIS: Adaptive IS。状況に応じアグレッションを自動調整するIS
- MomentumPOV: モメンタム追随の参加率制御(やや高めのPOV)
- MarkoutOLS: 約定後の不利方向への動き(マークアウト)を考慮したOLS
- BreakoutDet: ブレイクアウト検知ロジック
- TC-Ramp / TC/VWAP-Wave: 引け成りなどターゲットクローズへ向けた増速/VWAPと併用の波配分
- BasketRot / Roll: バスケット銘柄の入替ローテーション/期先乗り換え
- LiqAlgo: 清算目的の一括・分割実行アルゴ
- KillSwitch: 事前条件で即時にポジション縮小・手仕舞いする安全装置
- MarginCall: 証拠金不足対応の強制的な売買
- RebalDrib / InvNetting: リバランスのこなし(少量断続)/在庫の相殺処理
⑬–⑮トレンド型トーンタイプ(推進パターン)
| No. & トーン名 | アイコン | 主なアルゴ種(出現時) | 主なプレーヤー(一般名+アイコン) | 視覚サイン(手掛かり) | 戦略意図(ねらい) |
|---|---|---|---|---|---|
| ⑬ Step-Tone(階積/階落) | 🌓 | VWAP/TWAP/POV/IS による段階推進、バスケット進捗追随 | パッシブ執行🪐・裁定MM🦀・スプレッド供給HFT🐙 | 水平→斜めの小段が連続、各段で短い滞在→再加速、押し戻りは浅い | 持続トレンドの基本形。1段目確定で小さく参加、2〜3段の継続で段階的に積み増し。深い戻りが入れば一旦仕切り直し。 |
| ⑭ Pennant-Tone(昇旗/降旗) | 🌔 | 収束→拡大型のボラ制御、ブレイク準備(体勢作り) | CTA🦕・裁定のボラ供給🦀/ アクティブPMの見極め執行🦀 | 高安が先細り(三角持合い)、出来高と振幅が縮小→抜けで一気に拡張、だましを挟みやすい | 先細り中は待機。抜け一発+続伸(戻りが浅い)を確認して小ロット追随。戻って三角内へ再侵入したら撤退。 |
| ⑮ Ladder-Tone(段積/段崩) | 🌕 | 水平→垂直→水平の反復、突破価格の支持/抵抗化、ヘッジのΔ中和 | オプション主導MM🦈・スプレッド供給HFT🐙・パッシブ執行🪐 | 抜け値が水平化して“はしご”状に並ぶ、短い垂直推進→水平滞在の繰り返し、リテストで止まる | 抜け値の支持化を確認して追随。各“段”で部分利確+再始動で増し。直前段を明確な撤退線にし、割れたらクローズ。 |
🎵波長が上下方向で明確なトーンタイプ
⑯–⑲ハイブリッド型トーンタイプ
| トーン名 | アイコン | 主なアルゴ種(出現時) | 主なプレーヤー | 視覚サイン(手掛かり) | 戦略意図(ねらい) |
|---|---|---|---|---|---|
| ⑯ Sync-Step-Tone(合段律) | ☔ | 複数の分割執行がテンポ同期(参加率追随/在庫連動) | パッシブ執行🪐・裁定MM🦀・スプレッド供給HFT🐙・HFTヘッジファンド系🐠 | 同時に段が出る、階段が揃う、水平→斜めの刻みが各所で同期 | 点火合図。2〜3回の同期で確度上昇、段ごとに小さく積み増し。 |
| ⑰ Surge-Tone(刺閃波) | 🌩️ | ニュース/微イベント初動+薄所探索、モメンタム初動検出 | CRT🐸・スプレッド供給HFT🐙・オプション主導MM🦈 | 尖りが2連以上、直後に小段が出始める、ヒゲ頻発 | 短命サージの見極め。まず小さく試し、連発するなら段階的に増やす。 |
| ⑱ Pullback-Tone(仮戻し) | 🌦️ | 分割こなし+在庫調整(浅い戻し/押しの吸収)、ブレイク→リテスト | パッシブ執行🪐・スプレッド供給HFT🐙・裁定MM🦀 | 半値未満の浅戻し→短い滞在→同方向再開、戻りの時間が短い | 継続確認パターン。浅いまま再開なら追随、戻りが深い/長いと無効化。 |
| ⑲ Storm-Tone(重嵐波) | ⛈️ | 在庫制御×Δ/Γ中和×追随×裁定の同時発火、スプレッド伸縮反復 | HFTヘッジファンド系🐠・オプション主導MM🦈・CTA🦕・裁定MM🦀 | 厚みの出入りが高速、1↔3tickの伸縮が頻発、連続貫通と急反転が交錯 | 最上位警告。成行回避、分割利確とトレール必須、過剰な逆張りを控える。 |
🎵フラグ型
| No. & フラグ | アイコン | 測るもの(定義) | 典型シーン | 主なプレーヤー | 観測の手掛かり | 使い方/注意 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| ① Auction(AT) | 💎 | 板寄せ直前の傾き・気配偏向 | 寄り前、12:30再開直前、引け直前 | パッシブ執行🪐、裁定MM🦀、CRT🐸 | オークション気配の更新頻度上昇、成行気配の片寄り、指値の引っ込み、基準値からの乖離拡大 | 方向が決まりやすい帯。ATが高いときは抜け一発目を待って小さく順行。SW/ SPが同時に強ければブレイク本線の確認に使う |
| ② Spread(SP) | 🧊 | スプレッド急拡大=板の薄さ | 寄り直後、丸い時刻前後、引け前 | スプレッド供給HFT🐙、裁定MM🦀 | スプレッドが1→2/3tickへ急伸、気配枚数の減少、板の空白 | 抜けやすいがスリップ大。サイズは抑制、利確前寄せ。逆張りするならIWの強さを必ず併観 |
| ③ Sweep(SW) | 🌊 | 片方向スイープ(連続貫通) | 初動、再開直後、引けの加速帯 | CTA🦕、CRT🐸、スプレッド供給HFT🐙 | 連続約定で板を深く貫通、テープの加速、戻りの短命化 | 押し待ちは不利。ATが強いときは順行重視、IWが強ければ再供給で停滞しやすいので深追いを避ける |
| ④ Flow(RF) | 💧 | 刻みテンポ(終秒連打・提示頻度) | 節目直前、AT帯の直前直後 | パッシブ執行🪐、CRT🐸、スプレッド供給HFT🐙 | 終秒約定の連打、気配更新のリズム上昇、短い実体の連続 | 執行遅延コストの指標。RFが高いときはトレール幅・逆指値距離を広げ、スキャルは分割エントリを基本にする |
| ⑤ IceWall(IW) | ❄️ | 同価格の即復活=吸収壁の粘り | 日中レンジ維持帯、戻り待ち帯 | スプレッド供給HFT🐙、裁定MM🦀 | 食われた板が即復活、出来高は出るが価格が進みにくい、同水準での反復 | 抜けに時間がかかるサイン。SW<IWなら戻り売り・押し目買い、SW>IWなら抜け待ち。ブレイク狙いはサイズを段階的に |
🛠アルゴリズムに立ち向かう!🔧では、SQ影響期間(火曜〜翌週月曜)などの特殊局面や、当モデルが統計的に外れ値と判定した挙動を適切に除外・補正したうえで、平常時の市場構造に焦点を当てた仮説と解釈を提示します。分析は科学的検証と再評価を前提とする推定であり、将来の価格や成果を保証するものではありません。また、断定的判断の提供は行いません。
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