過去データから動きを予測できる3つの理由

市場は再帰的である

マーケットは利益の最大化というフォーマットで動く

本当に予測できるの?

金融市場において、「予測する」という言葉は軽々しく使われがちです。
しかし実際には、市場で起こる出来事の多くは、予測困難な複雑性と偶発性を含んでいます。大きな下落も、初めはごく小さな動きから始まり、それが重なり、ある臨界点を超えたときに急激な転換が起こる――そんなプロセスが当たり前のように繰り返されています。

例えば、恐怖指数(VIX)のような指標は市場全体の不安感を可視化するには有効ですが、特定の時間に特定の変化が起きることを直接示すものではありません。
それでもなお、ある条件のもとで、他の市場よりも「予測できる余地」があるのではないかと、私たちは考えています。

市場は完全にランダムではない

現在の金融市場において、アルゴリズム取引は取引の中心を担っています。特に日経225先物市場では、取引の8割以上が何らかのアルゴリズムによって執行されていると言われています。かつては人間の裁量による取引が主流でしたが、人間の介入を必要とせず、注文の開始、タイミング、価格や数量、発注後の管理などを、自動売買によって決済を行うHFT(高頻度取引)を含むシステマティックな売買戦略が市場の動向を左右しています。

潤沢な資金で市場をコントロールする機関投資家はアルゴリズム取引戦術をもつことで、さらに強力な優位性を備えることになっています。しかしながら、大手投資家にとって、マーケットインパクトをできるだけ抑制し、さらには自らの注文情報が漏れることを恐れながら大量のポジションを処理するには様々な工夫が必要であり、それは決して悪意で行われるものではありません。大口投資家が市場に与える影響を最小限に抑えるため、注文の分割やタイミングの調整を高度に設計された取引システムで行っている一方で、その行動パターンは、ある種の繰り返しや癖を持つようになります。そして、その「繰り返し」こそが、予測可能性のわずかな手がかりとなる可能性を含んでいます。

マーケットは利益の最大化というフォーマットで動く

あらゆる取引戦略に共通しているのは、「利益の最大化」という動機です。
様々な思惑を持った投資家たちが世界中から集まる日経平均先物市場ですが、長期的に、もしくはオプションSQに向けて壮大な成功ストーリーを考え、損益分岐点を見据えながら、それに基づいてポジションを決めている外資系トレーダーたちは、オプションSQ(特別清算指数)に向けたポジション調整や、機関投資家の長期戦略など、リスクを回避つつも、最終的に最大の収益を得るための多様な取引手法を組み合わせてトレードを行います。そして、その目的のもとに行動する限り、売買の判断には一貫した論理や傾向が生まれます。

これはつまり、市場が完全な偶然の連続ではなく、ある種の「設計原理」や「動作の枠組み」(=フォーマット)に沿って動いている部分がある、ということです。それは人間の感情や期待が入り混じる柔軟な構造であると同時に、一定の論理性と反復性を含んだシステムでもあるのです。

機関投資家の中には「日経先物では損失、TOPIX先物やオプション取引で利益を確保する」といった「ヘッジ取引」や「スプレッド取引」、プットオプションやカバードオプションを駆使したリスクヘッジ、他の証券会社と連携して取引手口を分散させることで、マーケットインパクトを抑えつつポジションを構築する手法も見られます。しかし、どのような複雑な取引を行っていたとしても、最終的にそれらは「利益の最大化」を目的としていることに変わりはありません。市場が完全なランダムではなく「利益を求める構造」によって部分的に支配されている以上、予測可能性の余地は確かに存在しています。「市場は予測できる」と安易に断言することはできませんが、条件や前提をしっかり整理した上で、特定のタイミングや状況下においては、一定の構造的パターンが観測される余地がある――そうした立場で、解析を続けています。

私たちが行っているのは、その余地を丁寧に、現実的な方法で見極める試みにすぎません。

市場の変動は決してランダムではなく、最適な利益追求のために投資家が繰り返す行動によって形成されています。そしてその構造パターンを見つける手段として、AIや統計モデルは有効に機能します。なぜなら、AI自身も「利益の最大化」という同じ設計原理に基づいて設計されたプログラムによって動いているからです。AIで動く市場を読み解くには、AIで立ち向かうしかないという現実が、ここにあります。

日経平均市場の特殊性

市場の自己準拠性とバルネラビリティ

日経平均の特殊性・・・

  • 流動性が高い—取引量が多く、価格形成がスムーズである
  • スパイクの発生リスクが相対的に低い(少なくなった)
  • ドル円為替や米国株市場(ダウ、S&P500)との相関が極めて強い
  • レジームチェンジが緩い(全くないわけではない)
  • 多様な市場参加者が存在し、特定の主体に依存しにくい

日経平均株価とは、日本経済新聞社が東証プライム市場に上場している企業から選んだ225銘柄の平均株価のことです。平均株価の変動ぶりをみることで、株式市場の相場がこの先どう動いていくのかを予想したり、景気の良し悪しを判断する材料としたりします。また、先物取引や投資信託など数ある金融商品の価値にも影響を及ぼしており、現代社会になくてはならない重要な存在です。

現在の日経平均市場においては、レバレッジ指数ETF、ダブルインバース指数ETFなどレバレッジ型やインバース型など柔軟なエクスポージャーの取り方が可能になり、さらには日経平均VI先物など、個人投資家においてもヘッジポジションの裾野が広がり、大口投資家のアルゴリズム取引における優位性は徐々に少なくなりつつあります。

日経平均の「バルネラブル(脆弱)」な構造とは?

日経平均は、世界で最もバルネラブル(vulnerable=傷つきやすい、影響を受けやすい)な株価指数の一つと考えられています。米国市場、為替市場、中国市場、欧州市場など、世界の主要市場の動向に即座に反応する傾向があり、日本市場が独立した投資対象というよりも、世界の市場センチメントを反映する一種の「共振器(resonator)」のように機能している傾向があります。

具体的に、日経平均の感応度の高さが表れるのは以下のような状況です。

  • 米国市場が大きく下落すれば、翌朝の日経平均先物が即座に反応し、寄付きで大幅ギャップダウンする
  • ドル円の為替レートが急変すると、それに伴い日経平均先物が短時間で大きく変動する
  • 中国市場や欧州市場で重要な経済指標が発表されると、日経平均がそれに追従する形で動く

このような動きは、市場参加者が「他市場の動きを前提にトレードを行う」ことで強化されます。例えば、機関投資家が「ダウ平均の下落を見たら日経平均を売る」といった戦略を組み込んでいる場合、その影響は指数に直接反映され、結果として日経平均は他市場に対して過剰に反応するようになります。

センチメント・リゾネーター(Sentiment Resonator)」としての機能

たとえば、米国市場の長期的なトレンドは、経済成長や企業業績をベースにした投資家の合理的な判断の積み重ねによって作られます。しかし、日経平均は、「主体的な市場参加者による合理的な行動」よりも「外部市場への過剰な追従」という側面があります。しかし、もしこの過剰な反応が一定のリズムを生んでいるのであれば、市場予測の可能性を広げることになります。一見すると皮肉な現象ですが、実際の取引戦略においては大きなメリットをもたらします。

共振器としての日経225先物市場は、あらゆる周波数に反応するわけではなく、特定の周波数(センチメント)を選別し(ドル円為替やNYダウ、S&P500など)その動きに強く共鳴し、増幅させ、価格変動にフィードバックしています。例えば、米国市場が下落すると日経225先物が即座に反応し、さらにその影響がアジア市場に波及し、次の米国市場のオープン時にも影響を与えるという「共鳴」が見られます。共振器の共鳴現象のように、日経225先物はボラティリティを高める自己準拠的な動きを内包しています。そのため、外部のセンチメントが強い影響を持つ局面では、特定の振幅(ボラティリティ)が形成され、それがトレーダーによる予測可能なパターンとなります。市場は共鳴現象を通じて過剰に反応するため、一定のシグナルを捉えることで市場の短期的な値動きの予測可能性を向上させることができます。「センチメント・リゾネーター(Sentiment Resonator)」としての機能を持っていると表現できます。

日経平均の自己準拠的な動き—「内的規則性」と「外的影響」の相互補完

統計解析の視点から見ると、日経平均の価格推移は「自己準拠(Self-Referential)」の性質を持っていることが分かります。自己準拠とは、市場が外部環境に影響を受けながらも、その影響を市場自身の内部ルールに従って再構成し、独自のリズムで動くことを意味します。米国をはじめ海外の市場は、外部環境の変化(ファンダメンタルなど)に対して適応することが求められるため、影響を部分的にしか取り込まないことが多いです。しかし、日経平均は外部の影響をほぼリアルタイムで受け入れ、その影響を拡大して再生産する結果、「本来ランダムであるはずの市場の動きを、ある種の決まった独自の形に歪めている可能性があります。ファンダメンタルを重要視する米国市場をはじめとする海外市場とは違い、日経平均は「受け身でありすぎたために、ファンダメンタルズに直接的には影響しない予測可能なパターンを持つ市場」になってしまったのです。つまり「外部環境に影響を受けやすい体質」が、「市場の自己準拠性」を作り出したという皮肉な状況が出来上がったのです。変なたとえですが、歴史上、外国の文化をなんの偏見なく生活に受け入れる日本人の「受け身体質」が、世界に例を見ない「独特の文化特性」を作り上げてしまったというような現象ににています???

新時代の投資戦略 – AIと市場の対話

感覚から構造へ—アルゴリズムと共に未来を拓く

AI時代の株価分析手法とは

機関投資家やファンドマネージャーのような大口投資家が短期に買いと売りどちらに注文を出してきているかを早期に察知することが出来れば、非常に有利にトレードを行えることができます。

かつて、機関投資家が持つ取引戦略やアルゴリズムは、個人投資家にとって「ブラックボックス」であり、その影響を受けるだけの存在でした。しかし、テクノロジーの進化によって、一般投資家が市場の動向をより高い解像度で観測し、機関投資家と同じ土俵で戦う道が開かれつつあります。

市場の本質は「利益の最大化を追求するフォーマット」に従って動いています。それは、アルゴリズム取引が主流となった現在でも変わりません。現在のAI技術を活用すれば、市場の動きをリアルタイムで解析し、機関投資家の行動パターンを高精度で予測することが可能になります。かつては個人投資家が手にすることができなかった「市場の透明性」が、テクノロジーの進歩によって急速に向上しています。最先端の分析技術を追求し、アルゴリズム取引が編み出す相場の動きを受動的にとらえ、AIを駆使して適切にリアクションしながら相場に向かうことで、不利な立場におかれている一般投資家においても勝機がおとずれようとしています。

アルゴリズムと対話する!

テクニカル分析のような、経験則や三次元空間に閉じた視覚的直観に頼る時代は終わりつつあります。私たちは、動的アルゴリズムと数理的理解によって、市場の本質に迫ろうとしています。

「アルゴリズムに立ち向かう!」が毎日提供している分析レポートは、様々なチャートや指標で日経225先物の超短期的予測を30分おきにリアルタイムでお客様にお届けいたします。次に訪れるであろう急騰・急落の兆しを逃さず捉え、個人投資家の判断力を支え、長期的かつ持続可能な投資スタイルを実現するためのツールとして、ぜひ一度ご体験ください。

2023年6月23日分析レポート

No.14 PM14:45 End Analysis (Short Terms)

2023年5月18日Free! No.15 Morning Pack (short & long)

Free! No.15 AM8:45 Morning Pack (Opening Analysis)

2023年5月17日お知らせ

No.7 AM14:15 End Analysis (Long Terms)